FJシニアパパインタビュー

「妻とは2周り近い歳の差。同世代ならうまくいかなかったかも」

 

 

後藤高浩さん(57歳)

 

 

プロフィール

 

9歳の女の子、7歳、5歳、3歳の男の子、妻の6人家族。

学習塾、結婚相談所、カウンセリングルーム、FP事務所を経営。

 


 

聞き手:FJ代表シニアパパプロジェクトリーダー 安藤哲也(2023年9月末取材)

 

母親が倒れて介護離職。お互いに無職時代に結婚

 

―ざっと経歴を教えてもらえますか?

学生時代から教員を目指していました。大学卒業後、大手の塾で25年以上働き、取締役になりました。

45歳の時に母が倒れ、仕事をやめて介護漬けの1年を過ごしました。その後施設に入ることができたのですが、すぐに母は亡くなりました。

その後、自分で会社を立ち上げて12年目になります。

 

―介護が始まったころまでは、独身だったんですか?

はい。結婚は私が45歳の時です。私も妻も無職の時に結婚しました。役所で「2人とも無職ですか?」と何度も確認されました(笑)。

 

―そこから子ども4人生まれたんですね!

そもそも自分が結婚するとは思っていませんでした。実は交際0日婚なんです。もともと知り合いではあったんですが。

 

―本人や家族は歳の差について、どんな風に思っていたんですか?

妻は全く違和感を感じていないようでした。シニアパパならではの、安心感や経済力を感じていたのかもしれません。

向こうの両親は、私とほぼ同い年です。父親は抵抗感あったみたいですが、母親の方は違和感なく接してくれました。今は、妻の母親は仲のいい飲み友達です(笑)。

 

 

―子どもはすぐ授かったんですか?

2年以上、子どもができませんでした。私の年齢のせいかも…とちょっと不安でした。その後7年間で4人の子に恵まれました。一番下の子は私が55歳の時の子どもです。

 

―4人!大変ですよね。

一番上が女の子なのですが、よく面倒を見てくれて助かっています。下の子が3歳になって、やっと少し手が離れてきました。

 

 

 

 

 

―先日シニアパパのイメベントに出てくださって、いかがでしたか?

疎外感と言うほどではありませんが、周りにシニアパパがいなかったので。イベントに出てシニアパパ仲間に出会って勇気をもらいましたね。

もっとシニアパパが増えたらいのではと思っています。年齢で諦めている男性も少なくないですから。私の会社では結婚相談所も運営しているので…

 

―歳の差婚は、どんな感じですか?

50代の入会者が増えています。離婚した方もいますが、初婚の方も多いです。

 

―人生100年時代ですからね。そう考えると50歳はまだ人生の半分なんだから。

今まで一生懸命働いてきたけれど、コロナ禍を経て寂しさを感じる人も増えています。50代で結婚する人も増えたらと思います。

 

―シニアパパは経済的な余裕がある人も多いから、そのあたりも魅力なのでは?

自分自身を振り返っても30代のころは朝出勤して帰りは夜中という生活。そんなときに結婚していたら大変だったと思います。

 

―まだまだ仕事と家庭の両立ができていない家庭も多いですね?

塾の仕事もしているので、いろいろな家庭と接しています。パパが子育てに関わっていない家庭、ママがワンオペ育児になっている家庭も多いですね。

 

―介護など、子育て中にダブルケアになることもありますね。

わが家は父も母も早くに亡くなり、1軒屋に1人で住んでいたんです。結婚後に父母の介護があったら大変だったと思います。

 

―介護で離職したんですよね。

はい、介護離職は大変でした。取締役をやっていたので、会社からの引き留めもありました。あのまま会社に残って働いていたら、結婚していなかったと思います。変な話、介護があり、会社を辞めて、親が亡くなって、結婚できたというところもあるかなと思います。

 

―親の介護がある中で結婚というのは、ハードルが高い気がします。

ママがパパの親の介護をするのは、大変そうですよね。

 

 

頼れる人を作る。子育てでも介護でも共通すること

 

 ―子育ての課題として、どんなことを感じていますか?

子どもは4人いますが、結構手がかからない方だと思います。上の子が下の子の面倒を見てくれるし、4人で遊んでいることも多いので。妻も疲労感とかあまりないみたいです。

上の子は中学受験を考えているので、教育費をどうするかと言うことですかね。これから何年間か大変そうだなと思っています。

 

―ママは働いているんですか?

私の塾で講師をしています。ベリーダンサーもしているので地方に遠征することもあります。そのような日に自分が仕事を休めない場合は、妻の母親に来てもらうこともあります。

 

―頼れる人がいるのはいいですね。

はい。義母とは妻より私の方が仲がいいくらいです(笑)。

 

―周りに頼れることが大事ですね。親戚や近所の人に頼れる関係性をいかに作れるかどうかが子育てに重要だと思っています。FJでは「チームで子育て」と言っていますが、これは介護にも応用できますね。介護経験者だからそのような情報も発信して欲しいです。

 

親の介護期間に教えられたことがあります。仕事より大事なものがあるということ。母の命をもって教えてもらいました。

 

―結婚式は親御さんに来てもらえたんですか?

父親は亡くなっていました。母親は認知症も始まっていましたが喜んでくれました。母親に結婚式を見せることはあきらめていたのでよかったです。本当は孫を抱っこさせてあげたかったですが…

 

若いパパから学ぶことも。積極的に声がけしていくこと

 

 ―FJに入っていかがですか?

会社を作るときに父親の子育てが大事だという意識が強かったので、まさにその思いにつながるNPOだなと思って入会しました。最近は子育てがバタバタで、なかなか活動できていませんでしたが、子育ても少し落ち着いたので、これからまた積極的に関わって行きたいと考えています。

 

―産後のママのケアで心がけたことは?

仕事をセーブして家事・育児を積極的にして、妻がなるべく自分の時間をとれるように心がけました。

 

―ジェネレーションギャップを感じることはないですか?

話題が合わないこともありますよ。普通の夫婦とは感覚が違うのかもしれません。

でも逆に妻が同世代だったらうまくいかなかったかもと思うこともあります。ぶつかることもなく、結婚当初からいい関係性です。

妻から服装についてアドバイスされることはありますが(苦笑)。

 

―シニアパパたちにエールを。

体力とか健康のケアとか大事です。先日(安藤さんの勧めもあり笑)悪くなっていた歯を抜いたんですが、とても楽になりました。歯医者さんには「今抜いてよかった」と言われました。絶対に早死にできないですからね。健康面の意識は必要だと思います。

子どもと一緒にいると、おじいちゃんと間違われたりちょっとしんどいこともありますが、楽しいことの方が多いです。

 

―若いパパたちに対してはどうですか?

若いパパから学ぶことも多いです。若いパパが一緒にいてくれるという、存在がありがたいですね。

リスペクトして欲しいなんて思わないけど、年齢が上だとちょっと遠巻きにされることもあります。でも、私もそうですが、自分から声がけしたり積極的に交流していくといいと思います。

 

 

 

 

取材・文/高祖常子(FJ理事、子育てアドバイザー)